静特性と動特性
品質工学(タグチメソッド)における品質特性の種類に静特性と動特性があります。
【静特性】
静特性とは、入力を変化させないで出力を調べる特性をいいます。すなわち、目標値が一定の品質特性です。静特性は望大特性、望小特性、望目特性の3種類あります。
望大特性とは非負の特性で理想値が無限大のものをいいます。大きければ大きいほどよい特性値で、強度などがあります。
望小特性とは非負の特性で理想値がゼロのものをいいます。小さければ小さいほどよい特性値で、磨耗量、有害成分、真円度などがあります。
望目特性とは目標値が有限値のものをいいます。小さくても大きくても悪く、ある目標値に近いほどよい特性です。品質特性のほとんどが望目特性です。
1980年代は望目特性に対するパラメータ設計が主流でした。しかし、望目特性に対するパラメータ設計においても、目標とする結果が得られないこともありました。
その理由のひとつとして、直行表に割り付けた因子が、SN比最大化用の因子と平均値の調整用の因子にうまく分離されないことがあります。
また、平均値の調整用の制御因子が他の制御因子と交互作用を持つ可能性が高いので、直行表実験の信頼性が低くなることもあります。
その対処法として、1990年代に動特性での評価方法が提案されました。
【動特性】
動特性とは、入力を変化させて出力を調べる特性をいいます。例えば、自動車であれば、アクセルの踏込む量に対して、どれくらいの速度が出るかを考えることです。
アクセルを1cm踏込めば速度は40km/h、2cm踏込めば速度は80km/hとなります(数値はあくまで例です)。風雨や気温の変化によらず、2cm踏込めば、常に80km/hの速度が出ることが望まれます。
品質特性を動特性で考え、その評価方法を確立したことがタグチメソッドの画期的な点です。入力を変化させない静特性より、入力を変化させて出力を調べる動特性の方が、より安定な製品品質を志向した評価ができます(もちろん、静特性でもきちんと評価できることもありますが)。
つまり、静特性より動特性で評価しよう!ということです。
投票数:849
平均点:5.06
|