現場観察の方法
品質改善においても
3現主義は基本です。
・不具合が起きている「現場」へ行き、
・不具合の「現物」を見て、
・どのように起きているか(使われているか)「現実」を知ることです。
しかしながら、製造設備が早い、クローズされている、小さすぎるなどの理由により、目視観察や現状の製造工程の測定技術では足りないことがあります。
不具合が見えるようになれば必ず解決につながります。この例話として「生物と無生物のあいだ」(福岡伸一著)を紹介します。
1920年代、病原菌(1000nm)に対するために光学顕微鏡:解像度50nmを使用し、抗生物質を開発した。しかし、病原菌をろ過しても病気を引き起こしてしまう現象があった。
1930年代、電子顕微鏡:解像度10nmが発明された。この電子顕微鏡でろ過液を除くと、ウィルス15nmが見つかった。
研究者はウィルスが見えるようになると、ウィルスからの発症メカニズムを解明し、治療法としてワクチンを開発した。
ここまで。
人間は見えるようになる(分かる)と対策を打つことができるのです。そのためには、観察の工夫が必要なのです。そこで、現場観察の視点をいくつか紹介します。
■見えないモノが見れないか。
1.内部:カバーで覆われた内部を見れないか。
2.可視化:温度分布や気体の流れ、圧力など可視化できないか。
筆者は高温炉の内部の可視化に苦労した経験がある。様々な可視化技術が開発されているのでぜひネットで調べてほしい。
■不具合を見やすくできないか。
3.低速・高速:動きの速い現象を遅くして見れないか。
4.停止:モノの動きを止めて観察できないか。
5.定点追跡:製造前に定点をつけ、製造後に定点がどう変化したか見れないか。
■不具合をもっと細かく見れないか。
6.拡大・縮小:不良部分を拡大できないか。
逆に大きな製品を作っている時は、縮小することで不良の傾向がつかめる。
7. 3次元:製品形状を3次元測定することで、不具合の傾向をとらえられないか。
8.成分:不良部分の成分を測定できないか。
視点は以上です。皆様の品質改善、歩留り向上にお役立てください。