真の歩留りを把握する(直行率とは)
歩留りとは、投入した原料が製品になった割合をいいます。これが基本です。
会社によって、歩留りの表し方は様々ありますので、4つ紹介します。
1.直行率とは
直行率とは、リサイクル量や工程戻しを除いて、一発で良品ができる割合を言います。真の歩留りと言ってもいいでしょう。
なぜ、直行率という指標が大切か説明します。
合成樹脂、金属製品を作っている工場では、不良や段取ロスしたものをもう一度、リサイクル(粉砕・溶解)し、原料に戻すことが多いです。
また、不良がでた時に、前工程に戻して、再加工する場合もあります。
リサイクルと再加工により、捨てる原料がとても少なくなるわけですから、歩留りとしては100%近い値になります。
これでは、問題点が見えず、ムダが隠れてしまうのです。
リサイクルも再加工も、作業の手間とエネルギーというコストがかかるのですから、リサイクル量、再加工量を把握して少なくする取り組みをすべきなのです。
直行率の基本的な計算の考え方ですが、前提条件として期間を決めます。一般的に月単位です。
原料を100トン、廃棄量 1トン、リサイクル量 2トン、再加工量 7トンとしたとき、以下のように計算します。
歩留り=(100-1)/100=0.99 (99%)
直行率=(100-1-2-7)/100=0.9 (90%)
直行率を生産管理指標として把握し、皆様の品質改善目標としてぜひ活用してみて下さい。
2.歩留りが100%超える?
ある会社で、歩留りを聞いたら「102%です」と答えが返ってきました。なんで100%超えるの?と聞き返すと、設計公差の中心を100として、薄く製造しているとのこと。
現在の歩留りが102%と言われても、じゃ目標値はいくらなの?と現場は戸惑うでしょう。 製造現場では歩留りの目標を100%とすべきです。直感にあうし、わかりやすいです。
3.原料原単位
原料原単位とは単位製品量に対する原料の量をいいます。
単位製品量はkg、tonで、自社の製造規模で使い分けます。例えば製品1tonつくるのに、原料を3ton必要とするならば、原料原単位=3[ton/ton]となります(歩留り=1/3=0.33)。
原料に不純物が多いとか、反応量が少ないとか、原料から製品になる割合が少ない場合に歩留りより原料原単位を指標に使うケースがあります。これは工場の考え方次第で、どちらを使おうとかまいません。
ちなみに原単位の考え方は電力原単位、蒸気原単位などと使うので、工場で働く人は必須の知識です。
4.収率とは
収率とは化学プラントで使う歩留りのことです。収量ともいいます。
化学プラントでは、原料Aと原料Bを反応させて、製品Cを作るのが基本的なパターンになります。
ところが、原料Aと原料Bの全量は反応せず、未反応分が出ます。そこで、反応率という反応した割合の指標がでてきます。
反応率=反応した原料のモル数÷反応装置に供給された原料のモル数
さらに反応はしたけれど、欲しい製品にならない分が出てしまいます(例:2酸化炭素が欲しいのに、1酸化炭素になってしまった)。そこで、選択率という目的生成物になった割合の指標が出てきます。
選択率=目的とする生成物に転化した原料のモル数÷反応した原料のモル数
最後に、目的生成物ができたけど、それは未反応の原料やなり損ないの生成物と一緒に共存しているので、目的生成物だけ抽出する操作をします(一般的には蒸留です)。
収率=製品として取り出せた量÷目的生成物として存在する量
収率はもう1つのとらえ方があるので、確認が必要です。
収率=実際に得た目的物量÷化学反応式から理論的に得られる量
以上
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